過労自殺と裁量労働制の因果関係は?―雁が飛ベば石亀も地団駄―

 最近「働き方改革」なるものがクローズアップされてきている。
 働き方改革関連法の整備に関する法律(平成30年法律第71号)が制定された。
 その目的とするところはいろいろあるが、思うに力を入れているのは、「裁量労働制の適用範囲の拡大」と「同一労働同一賃金」の確立にあると思われます。

 この中で特に問題視されているのが「裁量労働制」です。この制度は実際に労働した時間ではなく、あらかじめ労使協定(協約)で決められた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を支払う制度(事前に監督官庁に届出る)です。職種はなんでも良いというものではなく労働基準法第38条の3,38条の4で決められており「専門業務型」と「企画業務型」とがあります。(みなし残業代と違うことに注意)

 したがって、協定で決められた時間労働しなくても、それより短時間で業務が終了しても決められた賃金が支払われるのです。これは労働者にとって有利な労働条件のように思われるのですが、必ずしもそうとは言い切れずどうしても長時間労働につながる事が多いと言われています。

 この「裁量労働制」の適用範囲の拡大についはて反対意見も多く、つい先日の新聞にも某大手電機メーカーで、この制度で労働していた労働者が過労による精神障害を発症した、過労自殺による労災認定が相次いだなどの記事が掲載されていました。

 ここで問題なのは、「裁量労働制」の業種に従事する労働者が果たしてその業種に適しているか否かにかかっているとおもいます。
 例えば、「専門業務型」で多いのは「システム開発関連の技術者や研究者」だということです。この業種の多くはその企業の中核をなすものであり、ある種の資質と能力が求められます。

 その資質、能力のない人が業種にあこがれて無理にその業務についたとしても本人にむいていない業務ならば良い結果を出すことは難しいと思います。

 この様な人がその業務を担当したら、どうしても短時間で結果を出すことが出来ず、又長時間かけても良い結果はでないでしょう。当然使用者側もその責任を追及することになり、当事者も焦りと疲労で精神が歪みその結果病気を誘発し、自殺に追い込まれる事になります。
 又、使用者も労働者の資質、能力を推し量る事なく労働者が望むまま、人手不足のため頭数を揃えるためその業務に従事させる、これでは良い結果が求められないでしょう。

 裁量労働制導入の善し悪しを議論する前に、使用者も労働者も共に己のなんたるかを分析し、自己研鑽に励むことが肝要かと思われます。  

世に伯楽有りて 然る後に千里の馬あり
 千里の馬は常にあれども 伯楽は常にはあらず   ~ 韓愈 「雑設」 ~

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