グロテスクな人々2「ワインズバーグ・オハイオ」

「ワインズバーグ・オハイオ」を読みました。フォークナーやヘミングウェイにも影響を与えたといわれる、アメリカの作家によるハードボイルド(?)純文学です。作家は、シャーウッド・アンダーソン。

何も信じることのできない近代人の、根本的な暗さが、彼の作品の特徴であるような気がします。神はもちろん、愛も、戦争も、政治も、家族も、金も豊かな生活も、冒険も、本当には信じていない、人間というものは、恐らくは、どれかは信じていることが多く、それを支えに生きているのだとすると、その何らかを信じようとして生きては、失敗する=成就しないのである。そうして、それぞれが、それぞれの絶望を抱え込むのである。オハイオ州にある架空の町、ワインズバーグに生きる、そういう人々の人生が淡々とが描かれているのです。

“人々をグロテスクにしたのは、そういう真実だった。そのことについては、老人はまことに精緻な理論をたてていた。彼の考えによれば、一人一人の真実を自分のものにして、これこそわが真実といって、それに基づいて自分の人生を生きようとするとたんに、彼はグロテスクな人間に化してしまい、彼が抱きしめている真実も虚偽になってしまう、というのである。”この小説の前置きにあるこのことが、この小説の神髄であるかもしれません。

私のグロテスクは、マイホーム願望です。(典型的な日本人というか関西人で、将来、自分のものにならない不動産に対して、家賃を払うのがもったいない、それならば永住できる家を買った方がいいという)。よくある不動産神話です。

5年前にちょっとプチバブル?のころ、あわよくばの中古物件市場を探し回りましたが、色んな書籍を読めば読むほど、その物件の悪い点がどんどん見えてきて、“買ってはいけない”物件に該当し、買えないのです。博打のような冒険はできないという相当な小心者の自分がおり、マイホーム神話=願望に対しての終焉をあっさり迎えるのでした。

そうしてやってきた、昨今の中古マンションの価格下落という震災後の現実です。そうして、ふらふらと見に行きました、窓なし居室ありでした、それ以外はわりと完璧なように思われましたが、窓なしの部屋はつらいかな。やはり、不動産事情は何も変わってはいないのです。

もちろん、コスト削減を追い求めるあまりか、不自然な間取りのマンションが多いです。管理費も不相当に高い物件やら、不動産神話に身を捧げるならば、相場の坪単価で、比較し、ある程度は妥協して、ということにはなるのかも知れません。しかし、全財産と、そのリスクを秤にかけると、結局、いろいろネットで見るものの、購買まではいたらないということになるのです。(じゃあ、見なければいいじゃんという話ですが、、ついつい見るのが悲しいさがです)とかく日本は、不動産が人々の年収に対して、ひどく高すぎ、マイホーム神話達成には大変なハードルありだと思います。

今回の震災で、「住宅すごろく※1」文化は見直されるのか、地震を不用意に恐れていては何もできないのか?、首都直下型地震が30年以内70%とする予測を鑑みると、、、。そもそも日本はどうなるのか?という話にもなり、結局何も信じられないのではないか、というそもそものグロテスクが出現し、、、。そうして、結局は神話不達成=虚偽に陥るのでした。

 

※1住宅すごろく ・・・「ふりだしは新婚時代の小さなアパ-ト、子供が生まれるころに少し広めの賃貸マンションに移り、やがて分譲マンションを手に入れ、それを売り払って庭付き一戸建を手にいれたところであがり」

 

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