労働契約法第16条の功罪‐小さな癌腫瘍をそのままにしておくとどうなる?-

平成20年4月1日から、労働契約法が施行されました。主旨は、労働者と使用者とが自主的な交渉の下で労働契約を締結するというものです。

法律は、条文解釈(文字解釈)だけではなく、文理解釈、論理解釈、拡張解釈、縮小解釈、類推解釈、反対解釈、勿論解釈等さまざまな解釈の方法があります。

確定的な条文と思われる法律でもこれを解釈する者によって、変ってくるのです。それだけに、法律はできるだけ端的であって、解釈(解釈する者)がほぼ同じ結果になるようなものでなくてはならないと思います。このあいまいな第16条がもたらす労使の混乱は大変なものがあります。

企業は労使ともに力をあわせて事業を発展させなければならないものであり、その為には、何よりも企業秩序が大切になってきます。労働者は賃金を受ける以上は、企業に対して忠実でなければならないはずです。

使用者にしてもわずか30分や1時間くらい面接をしただけでは、その労働者がどれだけ仕事ができるのかわかるものではないし、雇用された労働者にとっても、実際に何ヶ月か働いてみなければ自分に合っている仕事かどうかわかるものではありません。労働者は、経営者の方針や、業務の内容がどうしても自分に合わないと思うなら、自分が去ることしかないのです。

しかしながら、この16条を解釈する司法は、ほとんどが解雇を禁止するものであり、解雇が可能であったとしても、多額の退職金(和解金)を支払う事例が多発しております。こういうあいまいな条文で1度雇用したらどんな人でも解雇できないような判例(判決例)が定着することにより、かえって企業側が雇用を控えることになり、ますます非正規雇用というパート労働者をうみだすことになるのです。少なくとも、雇用後1年以内くらいは、自由に労働契約を終了させることができる制度が必要だと考えます。
※労働契約法第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 

 

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