映画「剣岳 点の記」を見た。

映画を見る前から、「点の記」という言葉のひびきがいいなと思いました。「点の記」とは、三角測量における三角点の戸籍又は、案内図です。内容は、点名、所在地、土地の所有者、測量年月日、三角点までの道順、交通、案内図などで構成されており、地図を作成し、測量をするのに欠かせないものだそうです。

この映画は、明治時代の日露戦争後、その当時剱岳は前人未踏の信仰の山であり、死山とおそれられていましたが、日本地図最後の空白地点を埋めるため(日本地図完成のため)に、陸軍の命令で測量点を配置するよう命じられた測量官柴崎芳太郎が、その困難な剣岳に命賭けで挑んだ“測量”の物話です。

浅野忠信が演じる測量官たち全員が一瞬にして雪崩に巻き込まれ、埋もれるシーンは、あまりにもリアルだったので、本物かと思ってしまったほどです。(本物だったら、死ぬ危険性あり、もちろん人工的に起こしたものらしいです)テントごと吹っ飛ぶような雷雨と暴風、松田龍平演じる一人の若い測量士が、皆が反対しているのに切り立つ剣の岩壁に登るべく、挑戦したものの、滑落し、命綱のロープも切れて、身を投げ出され落っこちる危険なシーン等は緊迫感があります。

また、その厳しさと対照的に、剣・立山連峰や、雷鳥や、雲海、紅葉と剣岳の岩の対比が美しい雪渓からの映像、ため息の出るような美しい景色がフィルムにおさめられていました。さすがは日本を代表するカメラマンです。貴重な山の様々な光景に、凄い迫力を感じました。

この映画は昭和14年生まれ、69歳の木村大作監督の初の監督作品です。黒澤明の撮影助手をやっていた方で、日本を代表する名カメラマンですが、年をとり、監督が若くなる一方で、(うそか本当か)自分がカメラマンとしては雇われなくなったがために、自分が企画するしかないと思い監督になったのだとか、。

陸軍や、行者様、山岳会の無理やりかつ大げさな演技がお笑いな感じで、役者の演出と演技には(かなりの)疑問が残ったものの、山の魅力と、測量官やそれを支える案内役の村人達の命がけの仕事ぶりに見せられたあっという間の2時間20分でした。

 

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