プライオリティシートとタイタニック号 ー救命ボートに乗る権利は?ー

電車、地下鉄、バス等乗客輸送車両には、プライオリティシート(優先席)と称する席を設けている事が多い。ではこの優先席にすわる(掛ける)事の出来る人とはどういう人達なのだろうか?、これは運行する会社によってまちまちだが、だいたい次のような人達に優先権があるようだ。

「この席を必要としている人がいます、お譲り下さい」というのや「あなたのお心遣いをお願いします」といった内容のものがおおい。そして次の4っつの絵が書いてあるものが貼り付けてある。

大きいものが小さいものを抱いている(子供連れ)、人が杖をついている(老人)、お腹が大きくせり出しているもの(妊婦)、足に包帯をして松葉杖がそえてあるもの(怪我人) だいたいこれに限定されるようです。

ただし、この絵の順序はそれぞれ乗り物や運営会社によって異なっているようです。

私は、歳は後期高齢者に近いが、若い人達と一緒になってフルタイムで働いている、最寄り駅から職場まで急ぎ足で片道15分、足の悪い私は20分かかる、仕事もハードで、お客様の要請があれば何処でも出かけて行かねばならない。

従って、夕方6時頃になるともうへとへとで、家に帰るというよりは、やっとたどり着くといった毎日です。身体も年齢にふさわしく、あっちこっちがたがきて病名のあるものや原因不明なものまで、満身創痍といった状態です。

ですから、帰りの電車ですわれるということは私にとって大変助かることなのです。

先日私は、帰りの電車の中で3人掛けの「優先席」の真ん中が空いていたので、良かったと思いながらそこに腰を下ろした、そうしたらしばらくして、若い女性が(20歳代か)すーっと私の前に立って手提げ鞄を変な格好で私の目の前にさらすのです。私は眼鏡を使用しないと良く見えなくて、中吊り広告の大きな文字ぐらいしか読めなくなるのですが、この女性の仕草に違和感があり、その手提げ鞄を見ると何かシールみたいなものをぶら下げている、見えにくい目を何度もこすってよく見ると、「お腹に赤ちゃんがいます」とかいてあるようです。これが噂に聞く「マタニティシール」なのかと思いました。

お腹は少しも膨らんでいないけどやはり席を譲らなければならないのかと思い、他の人を見たが、左側のおばさんは眠っているし、右側のおじさんは熱心に本を読んでいる。向かいの「優先席」では、向かって左側の席には頑丈そうな若い女性が大股をひろげて、スマホをいじっている、真ん中のおばさんと右端のおじさんは何もしていなかったが私より遙かに若いと思われる。

揺れる「お腹に赤ちゃんがいます」ワッペンで催眠術に罹ったように立ち上がって席を譲った。

彼女は当然のように、何のリアクションもなく平然と私の座っていた席に座って手提げから何かペーパーを取り出し読み始めた。どうして6人の中から私がターゲットになったのだろうか?つわりで苦しかったのかもしれません。それならそれで、どうして前にすわっている老人の体調に想いが行かなかったのだろうか?

何か虚しい気持ちで疲れがどっと出てきました。以心伝心という言葉がありますが、親切であれ、好意であれ、又は嫌悪の情であっても、感情は相手に伝わらなければ何の意味もなさないと思います。

あの時、あの方が、わざわざ言葉に出さなくても、感謝の意をこめて軽く会釈して下さったなら、私もこんな虚しさは感じなかったと思います。(T_T)/~

 

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