マクドナルド裁判 [その2]

 マクドナルドの店長は、どうして辞めなかったのだろうか?これは真実は本人に直接聞いてみるしかないので、勝手に推測させていただければ、

当人は46歳であり、この業界に入ってからすでに20年がすぎており、もしかりに同業他社に転職したところで、現在の収入より、高い賃金を受けられることは難しい。年齢から見てもおそらく、正社員で迎えてくれるところは少ないだろう。お子さんがおられるということなので、収入が減るということが厳しいのだとすれば、何としても現職にとどまらなければならないと判断したのだと思われる。同社では、店長の上に店舗運営について指示する「コンサルタント」、さらにそれを統括する。「マネジャー」がいて、人件費削減などを常に求められたとのことである。過酷な現状を訴えたのか、または現状を訴えても聞き入れてもらえなかったのか、話し合いでは解決がつかなかったのか、結局は、裁判に至ってしまった。

 日本社会においては、労働法等で解雇が厳しく制限されており、社員に重大な落ち度がない限り、解雇が許されていない。そのため、雇用の流動性が少ないので、ある程度の年齢になると、ほとんどの人が、よりよい条件を求めて転職できるという環境にはない。仮に、過酷な仕事に耐え切れず、転職したとしても、どんどん条件が悪くなっていく。会社は、やめられる心配がないため、利益を追求しコスト削減しようとすれば、やめる心配のない労働者を酷使することになる。

 その一方で、解雇できないことにより、仕事のできない社員も抱えなければならなくなるため、人件費がかさむ。したがって、仕事のできない社員は楽をしているのに、何割かの有能な社員に仕事が集中し、まじめな人ほど過労死に追い込まれるというケースも多々ある。企業の中でも、アンバランスが生じているのである。

 日本の今までの長期雇用システム下における労働法、規制等も、見直す時期に来ていると考える。

村越経営労務研究所のHP

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