解雇できない国日本

 NHKのテレビ番組を見ていたら、30代前半くらいの男性が、10年間の野宿生活の後、NPO自立支援団体の支援、協力を経て、生活保護を受給し、賃貸アパートに住むことが出来るようになった(仕事もしている)という話を扱っていた。又別の女性の話では、

若い頃に、音楽活動(バンド)をおこなっていて、その後ゲーム制作会社に就職し、一生懸命働いていたが、両親が具合が悪くなって面倒をみるため仕事を辞めざるを得なくなり、その後父親が亡くなり、就職しようとして仕事を探したがなかなかないので、派遣に登録しているが、30代だと派遣もすぐにうち切られ、働きたくても仕事が無いので、食費を削って生活しているということだった。また、他の人の発言では、20代の頃に夢を抱いて、あれこれチャレンジしているうちに30代になり、職に就こうとするが正社員としてはなかなか雇ってもらえず、安定した生活への道がかなり閉ざされていると言う話であった。

 日本の雇用社会は、新規学卒でないと正社員としての雇用がなかなか難しい。そうするといわゆる非正規雇用社員として安定性のない生活を強いられる。

 会社としても中途採用しようとしても、現在いる正社員は、多少能力が無かろうが、協調性が無かろうが、よっぽどのことがない限り、解雇できないので、余分には人を雇えない。よほど儲かって余裕のある会社か、成長し続けて人件費をふやせるぐらい利益も上昇している会社以外では、中途に正社員を雇うということが難しいという日本の雇用社会にも問題があると考えられる。

 また、一方で、会社としても、現在いる社員には出来るだけ能力を発揮し、働いてもらいたいという願いもある。しかし、ある程度仕事を教えても、能力がない人や、協調性がない人、やる気のない人間は、会社においておくだけで、利益にもならない上に、デメリットを及ぼす。人件費も教育費もかかるので、会社にとっては一番の大きなコスト負担となるし、やる気のある他の社員へも様々な悪影響を及ぼす。

 働きたいのに働けない人、意欲はないけど正社員となったので楽して安泰の人、能力があるばかりに会社にどんどん仕事を押し付けられ、働きずめで過労死に至る人。人材の適材適所を欠く日本の雇用制度は、日本全体の労働力、経済力の減速にもつながり、様々な弊害を生じている。人材活用について、もっと流動的で、能動的な仕組みに変えていく必要があると思われる。(喫茶「情報塾」店員k)

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